ソーシャルワーカーが援助記録を書くことの意義について考える

公開日: 2011/09/13 MSW キャリアデザイン



援助記録はソーシャルワーク業務の根拠や証拠になるものだ〜などとよく言われますが、個人的には「記録をポジティブに書こうぜ!」運動を広めるために、記録を書く意義を「ソーシャルワーカー自身の実践力を高めるため」と声を大にして言いたいと思っています(笑

一言で言えば

記録が書けない=頭の中で様々な情報が整理できていない
頭の中で様々な情報が整理できていない=アセスメントまで到達できていない。



ということだと思うのです。

ウダウダ記録が書けないー!というのは1年目で卒業すべきだと思います。

というのは、最低限、患者さん家族とそれを取り巻く環境に関する「情報」を整理して記録に書き起こすことができてはじめて、それを基に、アセスメントを行ったり、上司にケースのスーパーバイズを受けることができるからです。

記録が書けない=アセスメントを組み立てる段階まで進めていない 

これって職業人として結構恥ずべきことです。

そんなソーシャルワーカーにならないために、新人のうちに身につけるべき記録の習慣をいくつか。


1.初回面接の記録はしっかりつけるべき


初回面接で扱う情報量は一番多いです。
その内容を記録に起こすことは、患者さん家族とそれを取り巻く環境についての理解を構造的に成す上で必要不可欠です。また、記録に起こすことで、援助を組み立てる(アセスメント)上で足りない情報が自覚できたり、面接中にリアルタイムで気づかなかった疑問に気づいたりすることができます。


2.書き方に迷ったらSOAPで書くべき

記録の書き方に迷ったり、やり方を試行錯誤したりするのであれば、スタンダードな方法を採用するということをおすすめします。やはり「SOAP方式」が一般的なのではないでしょうか。
SOAP記録とは以下の項目のアルファベットの頭文字を取ったものです。DrやNsなどの記録も多くはSOAP記録で書かれていることが多く、ソーシャルワーク記録に限らず用いられている記録方式です。以下( )内、説明文はHYの解釈。


S: Subjective(主観的事実)

患者さんが言葉にしている訴えや希望など

O: Objective(客観的事実)

病状、家族背景、経済状況 などの誰から見ても変わることのない客観的事実

A: Assessment(主観的事実と客観的事実から導かれる状況・問題の評価・分析)

主観的事実、客観的事実を基に、対象となる患者さん家族が今現在どのような状況に置かれているか、どのような問題があるか、どのような活用できる資源(ヒトやモノを含む)があるかなどの評価

P: Plan(具体的な問題解決に向けて行う、行ったアプローチの内容)

実際に、誰と誰に(何に)対して、どのような方法で何を活用して、どうしていくか、という事実・結果。


我流の書き方で記録を書くのはおすすめできません。
いつも、同じ書き方である一定量の記録を書いてはじめて、自身の中で比較や検討ができるようになるので、まずはスタンダードな方法で記録を書いてみるのがよいのではないかと思います。

SOAP方式の記録でAssessmentとPlanの区別ができなかった新人時代が懐かしいです。
きちんと記録を書き続けたことで、「記録を書く」=「情報を整理しアセスメントを行う」という一連の流れが自分の中で出来てきたことを感じています。


3.面接の記録を読み返し、面接前のウォーミングアップをするべき

面接にきちんと継続性を持たせ、前回の面接でソーシャルワーカーと患者さん家族との間に共有された事項の確認をしてから面接に入るということは、患者さん家族への礼儀であるとともに、自身の実践力を過信せず、謙虚な姿勢で患者さん家族と向き合うためにとても大切なことです。

その上で、前回の面接でどんな話をしたかということを書き起した記録を読み返し、想起してから面接に入るということは、プロスポーツ選手がウォーミングアップをしてから試合に入るのと同じことです。



もし、職場の上司が記録をなおざりにしていたり、忙しいからと言いながらはしょっていたりしても、「ああ。この上司も新人の頃はしっかりと記録をつけて、自分の実践を振り返っていたんだろうな」と心の中で思いながら(笑、しっかりと記録をつける習慣をつけましょう。

というか、記録をめんどくせーって言いながら後回しにするような新人さんにはあまり期待の出来る未来はこないですよ、と5年目の中堅所の意見としてこっそり言っておくことにします。

まずは、「書きましょう!」


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続・援助記録を書くことの意義について考える

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