【恊働者募集】社会の支え手たちを支えるシステム構築 〜Social Change Agent System構想〜

公開日: 2014/01/01 SCA 思索 社会起業



あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2014年最初のエントリでは、私が考える「社会の支え手を支えるシステム」
”Social Change Agent System”構築の構想についてお話をさせていただきます。


私は、医療機関でソーシャルワーカーとして働いています。

この仕事は、人の幸せを扱う仕事ではありません。
クライエントである生活上の問題を抱えた人たちと日々関わることは、
支える側にいる人の心や身体に多くのストレスを与えます。
私はこの7年間で、多くの同業者が辞め、現場を去っていくことを経験しました。


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ソーシャルワーカー(対人援助職)は、
社会的認知度の決して高くないマイナーな仕事です。
労働環境は決してよいものとは言えません。


職能団体もたくさんありますが、業界全体で
一致団結するという風潮がありません。

e-ラーニングなんてありません。
地方開催の研修はとても少ないです。
研修実施の地域格差があります。


就職活動は、縁故採用かインターネット検索が多いです
求人情報から読み取れる情報は非常に少ないです。


研究とか論文とか、学術誌の中で完結してばかりです。
現場の人間にとっては「よくわからない話」ばかりです。


様々な情報をデータベース化するとか、そういう風潮がなく、
色あせた紙で数年前の情報を保管してる現場が多いです。
せいぜいよくてエクセルにベタ打ちです。


職人芸の世界のように、
ベテランの援助者の知見が若手に継承されません。


生きていく上で自分だけでは解決できない困りごとを
抱えている人たちに関わり、支えていますが、
支えることだけでいっぱいいっぱいで、とても、困りごとを
生じさせている社会システムのエラーを変えるとか、そんな
ことを考える余裕がありません。

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上記のような声を、同業者から私は聞きます。


私は現場で働いていく中で、ソーシャルワーカーを含めた
”社会の支え手側に立つ人たち”を支える場やシステム
つくりたいと思うようになります。


2012年から、個人でイベントを企画し、
昨年、Social Change Agencyを設立しました。(本年NPO法人化予定です)


Social Change Agencyは、社会における認知度の低いソーシャルワーカーの仕事を多くの人に知ってもらうこと(社会の支え手を増やすこと)、そして、日本のソーシャルワーク業界を盛り上げること(社会の支え手たちを支えること)、ひいては、社会の支え手であるソーシャルワーカーの中から、社会を変える人材を輩出していきたいと考え、様々な事業やイベントを開始しはじめたところです。


本エントリでは、私が考える”社会の支え手たちを支えるシステム”であるSocial Change Agent System”について、構想段階ではありますが、お話をさせていただきます。

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目次
1.Social Change Agent Systemの理念的枠組みについて
2.Systemの実装機能について
3.Systemの想定ユーザーについて
4.ソーシャルワーカーが、Systemを構築する主体となるべき理由
5.Social Change Agent Systemは、「支え手共同体」を支える1枚の強固な層となる
6.Social Change Agent System構築の協力者を募ります。

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1.Social Change Agent Systemの理念的枠組みについて

Social Change Agencyの立ち上げに際し、
私は、「Social Change Agent は社会を変革することのできるソーシャルワーカーである」
という言葉を用いました。

私に”まず”課せられた仕事は、
「社会の支え手たちを支えるシステム」”Social Change Agent System”
をつくることです。

「日本全国の社会の支え手たちを支え、
かつ、社会の支え手たちの行動(知識・技術・ネットワーク)の集積が、
未来の支え手たちを支えるためにシステムを更新し続け、
そして、社会を変えるための武器となる。それを可能にするシステム」


上記抽象概念を、現実世界で稼働するシステムとして落とし込んだものが、
Social Change Agent System”です。

以下、Social Change Agent System”構築構想について、
その実装機能を踏まえ、お伝えをしていきます。

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2.Systemの実装機能について

【再掲】


・研修実施&研修情報発信
(全国の研修情報を集積。ユーザーの登録地域にて実施の情報を自動配信)


・求人情報集積&発信
(対人援助の仕事を一般社会に広報するというメディア機能を付与/システム内での掲載において、一定の評価基準を設ける。外部の人材派遣・転職斡旋企業とのコラボレーションも考慮)


インターンシップマッチング(大学と各現場をつなぐ)


SNS(ユーザー間の交流機能)


研究協力者募集システム
(研究機関から、ユーザーへの研究協力オファーができる仕組み。
 研究結果や論文をWeb上にてオープン化する。研究成果の恊働利用)


援助者バックアップシステム
援助者間の検索/スーパーバイザー検索機能。
その他、援助者がコンサルテーションを求める先の士業(弁護士・社会保険労務士、行政書士、司法書士等)も登録対象とし、各士業に活用してもらう仕組みを用意する


社会資源データベース
(クラウド)


問題集積機能
(現場→研究機関をつなぎ、政策提言を目的とする現場の問題集積データベース)


・インターネット上のシステム+スマートフォンのアプリを想定。
・各機能は、ログインIDの有無により制限を設ける。

各実装機能については、その背景も含め、別エントリで記す予定です。
(結構な量になるため本エントリでは割愛させていただきます)

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3.Systemの想定ユーザーについて

Social Change Agent Systemの想定ユーザーは、
対人援助職をはじめとする日本全国の全ての社会の支え手です。
社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネージャー)などの社会福祉に関する資格で差別化する必要も一切ありません。保健医療福祉介護領域、そして、草の手的なボランティアグループなどもシステムの一部のユーザーとなり得ると考えます。

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福祉分野の3国家資格の有資格者数(平成24年度)


介護福祉士:約100万人
社会福祉士:約16万人
精神保健福祉士:約5.8万人


(万人)
表6 主な産業別就業者・雇用者
2013年11月 (平成25年)
農業, 林業
非農林業
建設業
製造業
情報 通信業
運輸業, 郵便業
卸売業, 小売業
金融業, 保険業
不動産 業,物品 賃貸業
学術研究, 専門・ 技術 サービス業
宿泊業, 飲食 サービス業
生活関連 サービス業, 娯楽業
教育, 学習 支援業
医療, 福祉
サービス業 (他に分類 されない もの)
就 業 者
実数
対前年同月 増減 対前年同月 増減率(%)
216
-12 -5.3
6154 85 1.4
509 -6 -1.2
1048 -3 -0.3
190 5 2.8
350 3 0.9
1067 24 2.3
164 -6 -3.6
115 8 7.5
201
-21 -9.6
397 13 3.4
242 6 2.6
304 5 1.7
744 35 5.0
411 2 0.4
雇 用 者
実数
対前年同月 増減 対前年同月 増減率(%)
58 2 3.6
5561 58 1.1
414
-14 -3.3
996 -7 -0.7
182 5 2.9
335 4 1.2
970 21 2.2
160 -5 -3.1
102 8 8.6
158
-16 -9.4
336 13 4.0
183 -2 -1.1
278 6 2.2
711 30 4.4
363 0 0.0
派遣先の各産業の 補正値(実数)
0
0
-3
-21
-4
-4
-8
-3
-1
-3
-2
-3
-2
-6
65
注)2013年(平成25年)1月以降,労働者派遣事業所の派遣社員を派遣先の各産業に分類。ただし,各産業の対前年同月増減を算出する際には,これらを補正 した数値で比較(8頁参照)。派遣先の各産業の補正値(実数)は上表のとおり(マイナスの符号は当月の実数から控除して比較することを意味する。)。


産業別就業者(医療福祉):約744万人(2013年11月)

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システムのユーザーが増えれば増える程、ユーザーだけではなく、
システムの中に情報を投げ込みたい人(企業)にとっても、
システム自体が価値をもつようになるでしょう。


システム稼働初期段階から、多くのユーザーにシステムを使ってもらう(初期想定ユーザー数を考えたとき)には、”どこがシステム構築の主体になるか”ということが重要だと考えます。


有資格者、専門職集団たちの”特性”については、私も当事者ですから、
その文化・風潮も非常によく理解しているつもりです。


”どこがシステム構築の主体になるか?”

これは、非常に重要なことだと考えています。

ユーザーを増やし、フィードバックを受けながら、
システムが提供できる価値の総量を大きなものにするためにも。

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4.ソーシャルワーカーが、Systemを構築する主体となるべき理由


このシステムは、多くのステークホルダーを巻き込み、協力を得ながら構築する必要があります。そうでなければ、システム自体がユーザである社会の支え手たちに、提供できる価値の総量が低下するからです。

日本の社会福祉領域の職能団体は、非常に残念ですが、このシステムを構築する主体にはなり得ないでしょう。そういった視座があるものなら、社会福祉士という基礎資格の他に、認定社会福祉士などというものをつくるはずがありませんから。【過去エントリ:認定社会福祉士制度という名の”内輪のパーティゲーム”はいつ終わるのか?


そしてまた、日本の社会福祉領域の大学においても、”社会の支え手である人たちを支えるシステムを構築する”という文理融合型の研究と実際のシステム構築ができるところは今のところ見当たりません。

システムが、社会にとってどのような意味をもち、そのシステムをどうデザインするか。システム自体のベースはWeb上に構築されますが、そのシステムに関わるのは”人”であり、多くの機関です。ですから、システムを構築する主体が、IT系の方、研究者の方、大学、職能団体、一般企業、そして多くの支え手である人たちとのネットワークを編み合うことができる必要があります。

どこかの企業がシステムというハコモノだけ、つくっても、
「おい、作ったから、これ使えよ」では、意味がないのです。

「ソーシャルワーク(対人援助職)領域の不合理なシステム」について熟知しているソーシャルワーカー(つまりは、いちユーザーでもある)たちが、”社会の支え手である人たちを支えるシステムを構築する”主体となるべきだと私は考えています。

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5.Social Change Agent Systemは、「支え手共同体」を支える1枚の強固な層となる


私は、社会の支え手側に立つことを選んだ人たちひとりひとりが、
「支え手共同体」を構成する大切なひとりだと思っています。


「新人」は「過去のわたし」であり、
「バーンアウトして社会の支え手側から去らざるを得なかった人」は、
「そうなっていたかもしれないわたし」なのです。


Social Change Agent Systemは、
1枚の強固な「レイヤー(層)」として
「支え手共同体」を下から支えるようになります。


今後、先に構想図としてあげたシステムの実装機能ごとに
事業化する必要があると考えています。ですから、多様な人材も必要になります。


私は来年2015年、大学院へ進学し、今の仕事を辞めます。
”Social Change Agency System”について、ここ1年で、協働してくれる方を募り、多くの協力者の方と繋がり、資金を集め、大学院でシステムの研究構築を行いつつ、できたシステムの実装機能から順に稼働させていくつもりです。

”Social Change Agency System”の構築は、現場のソーシャルワーカーとしてキャリアをスタートした私が、今後、研究・教育に関わり、そして、「社会の支え手たちを支えるシステム」をつくるという、社会を変える試みを為す、という企てでもあります。

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制度や社会のシステムは、”人”あってのものです。
制度や社会のシステムの中で、「支える側に立つことを選んだ人たち」を支えるシステムが存在しなければ、制度や社会システム自体が、いつか、立ち行かなくなります。


ひとりのスーパーマンも必要ですが、
一度に多くの人に関わることは、人間の体が一つである以上できません。
ですから、まずは、ひとりの社会の支え手が、ひとりぶんのパワーで、しっかりと社会を支える仕事に従事できる環境をつくるべきだと私は考えます。


何度でも言います。

ひとりの社会の支え手が、ひとりぶんのパワーで、
しっかりと社会を支える仕事に従事できる環境をつくるべきなのです。
”Social Change Agent System”は、その環境を創ることに大きく寄与できると考えます。


社会の支え手たちが、疲弊し続け、現場から去り続ける環境が放置されれば、
未来の支え手は増えず、結果、社会の支え手は減るか、質は一向に向上せず、
社会に存在するセーフティネットは今以上に脆弱なものになるでしょう。



私は、そうなる前に、一手打ちたいのです。


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6.Social Change Agent System構築の協力者を募ります。

私の考えはまだ構想段階です。
システムのイメージと稼働後のユーザーの”振る舞い”が想像できている程度です。
今後詳細を詰めていかねばなりません。

私はITについては素人ですし、ITと多くの実践知を繋ぐ細かいシステムの設計やデザインには、その分野に長けた人の力が必要です。問題集積機能については、研究職の方の力も必要不可欠です。そして、足を使い、多くの現場の方からヒアリングをし、意見をいただく必要もあります。必然的に、各職能団体を結びつける”ハブ”としての役割も担わねばならないでしょう。システム構築の行程を想像すると、多くの方の力が必要であることは明らかです。


「技術的には、全て可能です」
と、IT系企業の賛同者の方から一言頂きました。


あとは、誰がやるか、それだけです。


「日本全国の社会の支え手たちを支え、
かつ、社会の支え手たちの行動(知識・技術・ネットワーク)の集積が、
未来の支え手たちを支えるためにシステムを更新し続け、
そして、社会を変えるための武器となる。それを可能にするシステム」



このシステムは思想的な”大きな物語”の創成を宿命づけられています。



現在の日本で、資格や職能や所属機関種別で分断されている小さな物語を統合し、
日本全国の対人援助職の方々の中に、「私たちは、社会の支え手なのだ」という
共通の大きな物語を生み出すという宿命です。



たったひとつでいいのです。



「私たちは、社会の支え手なのだ」という文脈さえ共有することができれば、
社会の支え手たちは、団結することができるはずなのです。



そうすれば、私を含めた社会の支え手たちは今まで以上に、
社会を支える一枚岩のような強固な層として機能することができる。



私は、そう信じて疑いません。


それこそが、真なる意味での”Social Change Agent System”なのです。




私の考えに賛同してくださる方、
IT系の方、研究者の方、大学、職能団体、
一般企業(医療・福祉・介護系等)の方、
そして、現場の「社会を支える側」に立つ援助者の方々へ。


”Social Change Agent System”を、ぜひ、共に創りましょう。


ご連絡、コメントをお待ちしております。



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