私が、職能団体に関わらずにいた理由について(業界外・武者修行のススメ)

公開日: 2014/02/26 教育 思索 自己覚知 自分史


今年度、某職能団体の研修立案のお手伝いをさせてもらっている。
業界の大先輩と一緒に講義の枠組みをつくったり、私はそういった仕事がとっても好きなので、楽しく、そして何より勉強をさせてもらっていると感じる。


だが、私はもともと、職能団体とは、距離を置いていた。
というか、一切関わりを断っていた。


職能団体の飲み会に現場1年目の頃にいったが、全く楽しくなかった。
「○○病院の△さんがどうだ」とか、職能版井戸端会議レベルの会話に終始し、
ソーシャルワーカーとしての価値観などを熱く語り合う気配はなかった。
(なので、数年後、私は自分でそういう場をつくった。自分がほしかったから)


せいぜい、現場数年のキャリアで、業界に還元できることはたかがしれていたし、
だとしたら他の誰かがやればいいと思っていた。


職能団体は一歩間違えば”馴れ合い”を生むと感じていたので、とりあえず、武者修行だと思って、外に出て、業界外の人と話しまくってた。これは今思うと私にとっては正解だったと思う。

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1.業界内で得た”問い”を思考するためのヒントを業界外から得るということ

業界内のことを、業界外の人に理解してもらえるようにすることはとっても骨の折れることなのだけど、それをすることで業界外の人からの建設的な批判や単純な疑問を返してもらうことができる。私は3年前くらいから、業界外の人に「伝え」、その結果、多くのアイデアをもらうことができた。私は以下のような経過を辿った。



問いを得て蓄積させる期間(1年目〜4年目)
その問いを、業界外の人に「プレゼンする」武者修行期間(5年目〜)


業界内の人間だけでは出すことが困難なアイデアを、業界外の人の視点を借りて生み出すというのは、非常に効率的で、創造的だと感じる。ソーシャルワーカーは、とある事案に対して外部の資源を調達して、投入することに長けていると感じる。それゆえ、この仕事は今後、多展開する可能性があると思う。というか、結構確信になりつつある。


多くのソーシャルワーカーが経験しているように、業界外の人にこの仕事を伝えることは大変だった。「介護の人?」「カウンセラー?」「福祉って大変だよね」というシャワーを3年間くらい浴び、私は現場で得た問いをあえて、業界の外の人たちに対して語り、フィードバックをもらうことを繰り返した。


でも、業界外の人にソーシャルワークについて伝える3年の武者修行の過程も単に「この仕事を多くの人に知ってもらう」アクションをひとつでもあったし、何より、フィードバックしてもらう疑問やアイデアは、たくさんの財産になった。


でも、ひとつ勘違いしてほしくないのは、業界内の鬱憤を業界外で発散していた訳ではないということ。現場1年目から4年目までは、現場→家→読書の繰り返しで、疑問を積み重ね、問いを創る時間を過ごした。

4年間で得た問いたちを背負って、業界外に武者修行に出たのが5年目以降だった。
そして、業界外に多くの尊敬すべき人に出会え、その人たちから、様々な思考の、そして問いを生み出すためのヒントを頂いた。

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2.業界内のことを、業界外の人に理解してもらうためには、多層の言葉をもつ必要がある


ソーシャルワーク業界に対して抱いた問いを、業界内の視点や資源で解消しようとしても、横展開がなかなか難しかった。だから、外部資源(という名の業界外の人)の力を最大限利用しようと考えた結果が、業界外の人と会いまくって、言葉を交わすという武者修行だった。これは自分には非常に合っていた。


言葉ひとつとっても、どのような対象・属性の人に「伝えるか」かで、言葉の選択や運用の仕方は変わるということを学んだ。言い換えれば、対象・属性に対して「刺さる」言葉を選ぶことができる言葉の層を有していなかれば、業界外の人にこの仕事を理解してもらうように伝えることは難しいと痛感した。


『最小公倍数的言葉』(対象を狭め、ある特定の人たちにだけに向けた言葉)と『最大公約数的言葉』(可能な限り多くの層の人たちにわかってもらいたいときにつかう言葉)という2つの概念を得たのも、この3年間だった。


今年度、職能団体に関わろうと思ったのは、”業界に対して抱いた問い”と、”業界外の人たちとのセッションから得たアイデア”により”Social Change Agency”を生み出すことができ、もう私の”問い生成軸”はブレることはないと自覚したからに他ならないのだな、と思っています。

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3.業界外・武者修行のススメ

とりあえず、学校の同期や職場などで、ソーシャルワークの価値について言葉を交わせる人間が1人でもいるのであれば、無理して、ガシガシ職能団体に出て行かなくてもいいのではないかと私は思う。


長く同じ業界に身を置けば、そこで浴び続けた価値観のシャワーが、皮膚に堆積して垢になる。俗にいう業界内という俗世間でしか生きられない「蛸壺化」する。
これは、堆積した後に、こびりついたものを剥がそうとしたり、なんとか蛸壺から出ようとしても、それには、労力も時間も必要になるし、それは生産的ではない時間になる。


であるならば、若い時分、いっとき、業界外に出て行き、業界内で得た「問い」を思考するためのヒントやアイデアを得るという武者修行を、私はおすすめしたい。


業界内で得た問いを、業界外の人にもわかるようにプレゼンテーションする。
その繰り返しで、業界外の人からもらったフィードバックをヒントに、業界内で得た問いを考え、そして解消するためのアイデアを生み出す。そうして、改めて業界内の人と話したり、業界内で得た問いを考えたりすると、新しいことが思い浮かんだりするはずです。


業界内で得た問いを、業界外の人にプレゼンテーションし、アイデアやヒントをフィードバックしてもらう。そうすることで、業界内で仕事をするときに、持ち得る”視点”は必然的に増えていきます。


そういう循環が少しでもいいので、若いうちに身につけることができると、
いろいろなことが楽しくなるのです。だって気づくことが多くなるのですから。


それは、とっても楽しいことだなと思っています。


現場で数年を経た以降の、業界外・武者修行”を、わたしはおススメします。


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