地域包括ケア時代において求められる急性期病院医療ソーシャルワーカーの役割についての一考察

公開日: 2014/04/20 MSW 思索 地域包括ケア




地域包括ケア時代において急性期病院のソーシャルワーカーが抱くべき意識と求められる役割ついて、本日イベント登壇者とブレストをしたので簡単に論旨を残しておきます。


まずは、病院と地域という二分的考え方を捨て、病院を「地域に存在する医療資源」と定義する。その上で医療ソーシャルワーカーは、当該地域にて、所属機関が自身の医療資源をどのように活用することで、地域におけるポジションを得ていくべきかというマクロの視点を持つことがまず第一。




今春の診療報酬の改定で、急性期病院のソーシャルワーカーには所属組織からの、「在院日数短縮」へのプレッシャーは大きくなる。限りある時間の中で、患者さん家族の利益を最低限守り、命に直結するまでに堆積した生活上の問題を軽減・解決する道筋をたてるためにすべきことは最低2つ。


ひとつは、命に直結するまでに堆積した生活上の問題を軽減・解決する道筋をたてるために、生活上の問題をともに整理すること(見立てること)、患者さん家族と共に整理→行動のプロセスを支える「仮止めの支点」になること。


もうひとつは、整理された生活上の問題の中で、患者さん家族の既存のリソースだけでは対処できないことについて、地域(その人たちの生活圏に近いところ)における、患者さん家族を支えるチームをつくるためのキーパーソンたち(本留の支点)を動員し、結集してもらうこと。


限られた時間の中で、急性期の病院のソーシャルワーカーは、最低限この2つを為せる能力とリソースを有しておきたい。
そのためには、所属組織を地域の医療資源として捉えたときの「リソースの規模感」を把握すること、地域のチームを動員できるネットワークが最低限必要になる。


入院時スクリーニングを活用し、早期に患者さん家族に「関わること」もしくは、コンサル的に病棟に関わり、病棟で調整を完結、病棟自体のスクリーニング、調整能力の底上げをサポートするという役割も大切。



その他、地域ケア会議等でどのような役割をとるか等もあると思いますが、本日はそこまで至らなかったため、
簡単に以上に留めます。


思った以上に、4/29(祝)SCA学生支部主催イベント:「福祉ってどんな仕事?~ソーシャルワーカーの可能性~」の話は、濃く、盛り上がりそうです。


合わせて、以下、池袋ジュンク堂で偶然見つけ、購入したのでご紹介します。

著者は、現在、厚生労働省国立保健医療科学院統括研究官(福祉サービス分野)。
理論と実践をフレームワークを活用し、横断的に述べている良著です。地域包括支援センター職員のみならず、医療機関のソーシャルワーカーにもおススメの一冊です。


地域包括ケアシステム構築のためのマネジメント戦略―integrated careの理論とその応用 

筒井 孝子 

目次 
1 地域包括ケアシステム(community‐based integrated care)構築の背景(地域包括ケアシステムを必要とした日本の現状)
2 integrated careをめぐる議論(integrated careの理論と課題
integrated care理論からみた日本の地域包括ケアシステムとは)
3 地域包括ケアシステムを構築するためのintegrationの方法(integrated careを実現するための様々な方法
日本の地域包括ケアシステム構築に向けたフレームワーク)
4 日本の地域包括ケアシステム構築に向けたトピック(認知症高齢者の在宅生活を支えるケアシステムの構築
地域包括ケアシステムにおけるケアマネジメントの再検討
地域包括ケアシステムにおけるサービスとシステムの質の評価体制
地域包括ケアシステム構築のための実践的ガイド)


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