ソーシャルワークの「現場教育と研究」についての雑感
最近すごく思うのは、ソーシャルワーク領域の人的リソースの配分というのは非常にバラツキがあるのだということ。
組織内のソーシャルワーク部門への理解は、部署への期待、部署全体としての能力等、要因は色々あるだろうけど、もっと業界全体（せめて地域レベル）の人的リソースの全体像を把握し、配分するという視点で、人的リソースをとらえてみてもおもしろいし、色々なアイデアがでるように思う。
例えば、大学の先生が週１でスーパーバイザーとして現場に入る場所を持つとか（忙しいとは思うけれど）、若いソーシャルワーカーしかいない組織にとっては、巡回で週１でも外部からケースへのアドバイスをしにきてくれる人の存在は大きいと想像する。大学の先生にとっても、現場観を鈍らせずにすむだろうし、臨床と学術領域を結ぶパイプラインになれるおもしろい仕事になるだろう。
そもそも、現場経験3年目くらいでプレイヤー&マネージャーとしての役割を組織から求められるというのは、どう考えても無理がある。
だがしかし、この構造的問題について、ソーシャルワーク業界は、各々の組織の問題に帰着させ、そこに対して何らかのアクションは起こす気がないように見える（もし動きがあるのであれば、教えて頂きたい）
昔から不思議に思うのは、この領域において、プレイヤーからマネージャーに移行する際の必要な考え方とかスキルとか、そういったことが研修レベルで語られることはないし、そこに問題意識を抱いている人間も少ない、ということ。
うまくマネージャーに移行できたソーシャルワーカーは、その移行期に何が大切で、どういったスキルが求められたかを言語化しないし（できる人は少ないと想像する）、その反面、若くしてプレイヤー&マネージャー（多くはプレイングマネージャー）の役割を課されたソーシャルワーカーは、目の前のことで精一杯だ。
このあたりの問題意識は、いずれ企画化したい。
マネージャーとしてのスキルがなければ、部下を動かし結果を出すことは難しいだろうし、部下が結果を出すための環境設定（資源を獲得するための、組織内での交渉や、立ち回り、力動を見極めるスキル等）ができなければ、マネージャーとしての機能は果たせていないことになる。
誰かが、これが問題だと言わないのであれば、まずは、潜在化されていると想定される問題を顕在化し、それを企画化し、多くの人たちのニーズに沿うものかのフィードバックをもらう。
そういう地道な作業を行う必要があると考えている。
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加えて…こないだ聞いた話。
某所が、某助成金とって、急性期MSWのスクリーニング項目の研究をするという話を聞いたのだけど、目的が不明瞭だと感じた。政策提言に用いるにはインパクトが弱すぎるし、MSW業界全体に利益を及ぼすかと言えばそれもまた弱い。
そもそも、スクリーニング項目の研究が、結果、現場で活用可能なツール化に至るのか、かつ、ツール化したものを活用する対象が、主に新人たちなのか、それとも院内全体で他職種と共有可能なものとしチーム全体で活用するのかとか、そういったことは不明瞭で、「研究の先にある未来」への想像力が感じられない。
人、モノ、金、時間という有限のリソースを、一部の人間の学術的興味の中で消費していくことへの危機感と自覚がないのだとしたら、それは本当に問題だと思う。
せいぜい、1,2年スパンでしか語れないようなことに、本当に「人、モノ、金、時間という有限のリソースを投入すべきか否か？」という問いは、そういったもの（人、モノ、金、時間）を握る人間たちが問うべきことだと私は思う。
それができないのであれば、そこにあるのは「イマジネーションの欠如」という一言に尽きる。
少なくとも、ソーシャルワーク業界にとって、「即効性のある応急処置的なもの」と、「未来予測をし、長く時間をかけて、為していくべき必要があること」
この２つの仕事は、両輪で回していかなければならない。
そして、「未来予測をし、長く時間をかけて、為していくべきこと」の仕事を常に考え続けて、小さな一手を打ち続ける側に立つ人間たちが少ないのであれば、やはり、その側に立つべきだと改めて思う。
考えれば考えるほど、世に問うべきものは多すぎて、やるべきことがたくさん存在する未来っていうのは、それはそれで刺激に満ちあふれているな、と思う。
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