強度としなやかさのバランス

公開日: 2016/05/11 MSW 思索

「奉仕の精神がなければソーシャルワーカーの仕事は続けられませんか?」
という問いを学生さんからもらった。
この問いを学生さんから差し向けられたのは人生で3回目だ。

この問いが学生さん自身の中に生まれたのは、「なぜ自分は対人援助職につこうと思っているのか(思ったか)」という問いに対する自身を納得させるための理由を探っているからなのだと思い、「なぜ、そう思うのか?」と問い返した。




その返答に対し、なるほど、とおもうとともに、自分のことばで口にできている時点で、その人なりの暫定解はでているように思えて、その暫定解が、現場に出られてから、どのように変わるのか、変わらないのか、数年後にまた聞いてみたいと思った。
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個人的には「なぜ自分は対人援助職につこうと思っているのか(思ったか)」という問いは、現場に出る前に暫定解を出しておくべきだと考えている。
自分の場合は「なぜ自分は対人援助職につこうと思っているのか(思ったか)」という問いは、「この職業につくことで、自分がどのような報酬を得られるか」という利己的な問いに帰着した。
学生時代に出した暫定解は「自分がこの職業につくのは、誰かのためではなく、自分のためである」だった。
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・人は変わることができる
・自分が生きていくためには、意味で人生を満たすことが必要だ

この2つの個人的な価値観を補助線に、この職業が自分にもたらしてくれる果実を以下のように考えた。

「危機的状況下にある他者が力強く自身の人生の舵取りを取り戻す場面に立ち会える」
「他者の人生の1ページをある程度深く共有させてもらうことで、自分が現実を構成するためのパーツとしてのコトバが数多く得られる」

そんな感じで、自分が納得できる結論を出し現場に出た。


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(何かしらの危機的状況下にある)他者の人生に触れる機会の多いこの職業は、嫌が応にもクライアントを通して、自己の価値観の根底を揺さぶられるという体験を多くする。


ふかく潜って、自分と対話する。
その時間を栄養分にして、価値観は屋台骨として成長していく。
成長すれば強度も上がるので、揺さぶられることも減っていく。


だが、しなやかさがないと、ぱきっと容易に折れてしまうこともあるから、そこが難しいところなのだろうな、と。
強度としなやかさのバランス。


学生さんの顔のうしろに、昔の自分の顔を見た。そんな午後。



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