ソーシャルワーカーとして自己研鑽するための方法論vol.3

公開日: 2016/05/25 MSW 自己研鑽



社会福祉、精神保健福祉ケアマネージャー等の資格を取得後、多くの方は、自身のキャリアアップやスキルを磨くために色々な方法を試され、自己研鑽に励まれていると思います。

用意された研修を受講する以外にも、専門職としてのトレーニング方法は存在します。新人さんから中堅に足を踏み入れた方で、「自己研鑽の型」がまだ見つからない、模索中。という方に向けて、プロフェッショナルとして研鑽し、成長するための方法論について、私個人の経験を振り返り、客体化したものを、「ソーシャルワーカとして自己研鑽するための方法論」と題してまとめました。

「1.研修」、「2.読書」に引き続き、今回は「組織内SV(スーパービジョン)」について。



現場に出てから教育を受ける機会としては、職場の上司からというのが一番多いと思います。


現在進行形のケースに対するリアルタイムでの相談、ケース終結後の振り返り、スーパービジョンなど、上司から指導を受ける機会を、学びに活かすことは非常に大切です。それは、ソーシャルワーカー自身の成長のためだけではなく、クライエントに対して、常に一定の質の援助を提供するために必要なことでもあります。


入職したばかりの新人と、ベテランの間に能力の差異があることは当然ですが、クライエントにとって常に一定の質の援助を提供するために、上司から部下への教育的指導は欠かせません。

ソーシャルワーカーの所属する機関は、その種別に関わらず、少人数であることが多いです。


学生さんであれば、はじめての職場を選ぶ際は、可能な限り、「現場経験がある上司から指導をしっかりしてもらえそうな機関」を選ぶことをお薦めします。現時点ではソーシャルワーカーの業界は、OJTに頼る部分が多いからこそ、現場での教育体制が整っているところ、しっかりと指導できる能力のある上司のもとで働くことは、ソーシャルワーカとしてのキャリアを考える上でも大切なことです。


私自身ははじめての職場で、業界でのキャリアが20年を超えたベテランの上司に指導をして頂きました。それによって私が受けたOJTは非常に意義のあるものになりました。「見て盗め」も大切ですが、やはり、きちんとした根拠のある実践を為すために、上司からの指導は必要です。

少し脱線しますが、就職活動をする際は、必ず自分の上司になるであろう人と話をする機会をつくることをお勧めします。自分の職業的な価値観と、上司や部署のそれが大きく相違ないか、一緒に働くことになるかもしれない人たちの人柄等も知っておくことで、入職後のミスマッチを可能な限り回避できます。ソーシャルワーカーは組織に数人であるからこそ、部署内のバランスは非常に大切です。これは、管理職として新しく人を採用する際にも、必要な視点だと考えます。


職場で上司から指導を受けることのメリットは、現在進行形のケースについての指導やアドバイスが受けられること他部署や地域の関係機関との関係性に基づくコミュニケーションの取り方を教えてもらえたり等、「近しい存在」であるからこリアルタイムに、実践の中で、学び、成長をしていくために必要なことを教えてもらえることです。


ですが、ソーシャルワーカとして成長し、スキルを身につけていく上で、上司からの指導だけに頼ることもまた考えものです。上司からの指導にも当然、限界があります。


上司の現場経験がどれくらいあるのか、過去に部下の教育経験があるのか等によって、上司が部下に提供できる教育的資源は異なります。なぜなら、クライエントに援助を行うこととと、部下に教育的な指導ができることは、異なる能力だからです。上司として過去に何人もの後輩たちをしっかりと育ててきた人、上司としてはじめて部下を持った人、両者には当然、「教育的能力」の差があります。ですから、現場経験の長さと教育的能力は単純には比例しないのです。

組織学習論などを専門とする東京大学の中原淳准教授は、マネージャーが学ぶべきことについて以下のように記しています。

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マネージャーが経験しなければならない変化(学び)は、2種類のものがあります。1つは、実務担当者時代の未経験分野を新規に学び直すこと、もう1つは実務担当者時代に身につけた知識やスキルをマネージャー用に変更することや、場合によってはそれらを捨て去ることです。

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ソーシャルワーク現場の「上司」の多くは、現場で成果を出すことと(プレイヤー)、部署の管理業務(マネージャー)の両方の役割を求められる”プレイングマネージャー”であることがほとんどで、忙しい現場で、上司が部下の教育に割ける時間も限られているので、上司がプレイヤーとしての業務に忙殺されているような現場では、当然部下の教育に割ける上司のリソースは減ります。

また、同一機関内の上司・部下という構造において、ときに率直な意見や本音で話ができない場合があるでしょう。だからこそ、現場での上司からの指導に加え、組織外でスーパービジョンを受ける機会等、様々な学びを組み合わせていくことが大切です。

次回は「組織外スーパービジョン」についてお伝えしていきます。


全文(1章〜9章)はこちらから

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