ソーシャルワークにおける面接技術に加え必要な能力についての個人的見解

公開日: 2013/03/14 MSW SW解体新书制作委员会 思索



この仕事は、面接技術だけでは決して完結しません。
ですが、ソーシャルワーカー自身があたかも面接技術がソーシャルワーカーの専売特許のように語るのはいかがなものか、と思うことが最近多いです。

本エントリでは、上記の疑問に対し、「ソーシャルワークにおける面接技術に加え必要な能力についての個人的見解」と称し、私の考えと、その訓練方法について記していこうと思います。



1.ソーシャルワーカーにとって必要な面接技術+「?」とは?


「面接技術」+「ゴール設定&プロセス生成能力」
この2つを組み合わせながら、ソーシャルワークを展開してると私は考えます。

極論、面接技術はいまやどこでも学ぼうと思えば学べます。


面接技術はクライエントとの関係構築や、現状の把握、解決すべき問題への見取り図作成に必要です。面接の目的は、クライエントとの関係性の構築と情報収集です。
ですから、面接技術は言わばソーシャルワーカーの上半身の筋力と比喩出来るものです。


それに加え、論理的に物事を考え、目指すべき到達点の設定や、それを阻害する要因の洗い出し、到達点に達するための必要なプロセスをきちんと踏んだり、そのプロセス生成のために、材料を(人やモノや制度活用)見出せる力というのも同じくらい大切です。これは、「ゴール設定&プロセス生成能力」であり、ソーシャルワーカーにとって必要な下半身の筋力と言えます。



2.既存の理論「のみ」で語られる言葉には、説得力が生まれない。


研修などでは、「面接技術」については事細かに語られますが、後者の「ゴール設定&プロセス生成能力」はあまり語られる場面はありません。それはなぜでしょうか?

面接技術だけ磨いても、それだけでは後者が活きてこないはずです。
教科書的にいうと、面接技術は信頼関係の構築と、アセスメントを行なう上で有用ですが、それをどう活かし、クライエントの利に落とし込んでいくかはまた別の次元の能力です。

上記のようなことを言うと、既存の理論をドヤ顔で語る人がいます。

例えば、「ケアマネジメントの手法で、それに基づいたアセスメント項目を活かして、利用者のゴール設定をし、そこに至るまでのプロセスを考えます。そうすれば利用者主体のプランが立てられます。」など、というように。

この2行は、「借り物・論」を展開しているに過ぎないなーと思うのです。
というのは、聞くと、なんとなく「なるほどなー」と思うのですが、よくよく考えると、具体的なアドバイスやプランは一切示されていません。つまりは、「なんとなく正論ぽいけど、詳しいことは全然わからない。」状態です。

それは、語り手が自身で汗をかいて勝ち得た言葉ではないからです。
つまりは、経験に基づく、切迫感、説得力が存在しないのです。



3.課題を設定し、それをどう訓練するかという行動目標を立てよう


本来であれば、

面接技術と並行して、得た情報から、クライエントの現状を、どう見立て、どう考え、なにを目標として、誰に、どのように、なにをお願いするか、はたまた自分が行動するか、クライエントに行動してもらうか、という目的設定と、その達成までのプロセス生成ができる力を鍛えよう」と思ったとしたら…


まずは、課題設定後の、実行策の選択・決定が行なわれるはずです。

例えば、


「ゴール設定&それに向けたプロセス生成能力を鍛えるために、まずはその構成する要素を細かく分節化してみよう」と考えたとしましょう。
その一部を例として以下のように書いてみるとします。


細かく分節化するために、項目の書き出しを行なうとします。


得られた情報を整理する、主観的事実と客観的事実を組み合わせ見取り図を描く、それに付随するクライエントの現象に対する意味づけ(ナラティブ)をどう組み込んでいくか…etc 


分節化された各項目について、より細分化し枝葉をつくるとします。


・得られた情報を整理する
 情報の質(一次なのか二次なのか)や、整理方法、なんのために整理するのか…etc


主観的事実と客観的事実を組み合わせ見取り図を描く
 主観的事実に伴う「感情」をどう扱うか、主観的事実を語る人物の役割期待をどう扱
 うか。客観的事実をどこまで収集するか、どこまで必要か…etc


などなど。

要は、ゴール設定&それに向けたプロセス生成能力」の構成要素を徹底的に洗い出し、その全体像を各要素によって浮かび上がらせるのです。それは図表にできるかもしれませんし、地図のように書き表すことができるかもしれません。



「課題解決のために、自身にどのようなトレーニングを課すか。」
そういった、ことが日々の現場で設定できないと、いつまで経っても「なんとなく」の仕事から抜け出せません。


自分の経験と+学んだ知識を材料にし、ゴリゴリと自分の頭を使って考えるのです。


既存の理論に逃げることなく。
なんとなくわかったような気になる言葉を使うことなく。
自分をごまかすことなく。


身体感覚と乖離する言葉を使い続けているうちは、いつまで経っても、自身の実践感覚に合った言語運用は出来るようになりません。先達たちの綺麗な理論は、「実践の根拠づけというひとつの柱」くらいの位置づけにしてあげたほうがいいのです。

そうでないと、実践から得られた言葉は援助者としての筋肉になりません。
いつまでも負荷の弱い状態で仕事をしていても筋力は衰えるばかりです。


簡単なトレーニングとしては、
アセスメント、プランニング、インターベンション各々を800文字以内で定義、説明せよ。

などが、有用かと思います。


この3つを頭を振り絞って、既存の言葉に逃げないで、今現在の自分が「この定義」で仕事をしている、と言い切れるものが表せれば、それは、座学ベースのなんとなくの研修の何倍もの学びになるはずです。

これは、今後のソーシャルワーク言語化ゼミでも扱おうと考えているテーマです。
第二期開催も、改めて告知をいたしますので、ぜひ一緒に考え、言葉にする場をつくりましょう!

それではまた!

【アセスメント力をあげる必須の2冊です】


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