他職種から情報提供を得る際に考えるソーシャルワーカーの専門性について(頂いた質問から)

公開日: 2013/05/06 MSW SW解体新书制作委员会 思索 質問に返答シリーズ

昨日、Blogで扱うテーマについてご質問を募集しています。」というエントリを作成し、早速ご意見をいただきましたので、回答をさせていただきました。


鳥取県で2年目のソーシャルワーカーとして働いています。 最近はリハビリさんや看護師さんと連携する中で、特に感じることがあります。 みなさん、リハビリや看護の業務をこなしながらも病棟で出会った家族や本人をアセスメントして、生活者として家族全体や今後の生活について、ソーシャルワーカー(私)に情報提供していただけることがあります。 なんだか…自分達の専門性やソーシャルワーカーとして自分が1番目指していることを、他職種にあっさりとクリアされた気がして… いろいろと仕事に迷いを感じています。 


ご質問どうもありがとうございます。
質問者の方は現場2年目ということで、仕事にも少しずつ慣れ、他職種からも顔を覚えられ、顔を覚え、やりとりができるようになってきた、という時期でしょうか。

他職種の方が、しっかりと本人家族の話を聞いていて、ばっちりアセスメントまでしている。なのにソーシャルワーカーである自分は…、ということが私自身も新人時代によくあり、落ち込むことがたびたびありました。


ですが、他職種が情報提供してくれる→他職種がソーシャルワーカーへ期待をしている、使いどころを知っている、ということだと思いますので、良い関係を他職種の方と築かれているのだろうなと想像をしました。

というのは、ソーシャルワーカーの使いどころを「転院屋」くらいにしか考えていないところであれば、情報提供なんてする必要はないはずですから!

といっても、「迷い」をとっぱらう打開策にはならないとは思いますので、少しだけアドバイス?をさせていただきますね。(諸先輩方も見てらっしゃるとは思いますが、僭越ながら…。補足等あれば、コメント欄にぜひお願いします!)


1.情報提供を得た場を意見交換の場として活用する。


情報提供の場において、他職種がどういった事実から、どのようにアセスメントをしたか、というプロセスを聞かせてもらうことで、ソーシャルワーカーサイドから、他職種に「聞きたいこと。聞いておかなければならないこと」が出て来るはずです。他職種と意見交換をする時間が、ソーシャルワーカーとして、患者さん家族をどのように捉えているかを再確認できる場になることもあります。

>生活者として家族全体や今後の生活について

担当看護師として、担当リハビリセラピストとして、”生活者として家族全体や今後の生活"について、どう見立てているのか。そして、その実現可能性について、情報提供を得たその場面で各職種の意見を聞いてみるということを行なってみてもいいかもしれません。


2.情報提供の場を、「各職種としての評価項目」について評価をお願いする場として活用する。

例えば、ADL低下し、新たな医療処置が必要になった患者さんが家に帰る時の援助について考えたとき、


例えば、患者さん本人に家に帰っても必要な医療処置がある場合

→その処置は本人が自分でできるか?
→家族はできそうか?
→まだ上記について、評価をしていないのであれば、"生活者として家族全体や今後の生活"について、考える上で、重要な評価項目になるので、その職種(この場合は看護師さん)としての評価をお願いする、というアプローチを行なうことがもできるかもしれません。


「本人は家に帰りたいと言っていて、家族もそれを希望していますよ」という他職種からの情報提供があったとき、「家に帰る」という一文を、「家に帰る上で必要な各職種としての評価項目」まで落とし込み、その上で、各職種からの評価をもらう。お願いする。というアプローチを各職種に返していくことで、チームとしての援助はより厚みを増すことがあります。


情報提供をもらったソーシャルワーカーが、「各職種に対して、どのようにアセスメントをしたかということを聞き、それに対する質問や評価してほしいことをお願いする」というアプローチ自体が、各職種が、「生活者として家族全体や今後の生活について」をより高い解像度で、再評価し直してもらうきっかけにもなるかもしれません。


3.為すこと、為されたことの意味を考えてみる。


面で描くのではなく、球体で描く。
それが、他職種とチームを組んで、患者さん家族を援助する意味なのだと思います。


きっと、質問者の方が、真面目に仕事に取り組んでいらっしゃるから、他職種の方は情報提供をしてくれるのだと思います。


情報提供を得た際、「なぜ、この職種のこの人が、自分(ソーシャルワーカー)に、この情報を教えてくれるのか?」という、その意味を考えてみると、視界が少しひらけるかもしれません。

そしてまた、その情報提供を得て、考えたこと、聞きたいこと、もしくは、ソーシャルワーカーとしての、患者さん家族をどう見立てているかということを他職種に返していく(伝えていく)ことで、援助に広がりや、厚みを得ることにつながるかもしれません。


これから、きっと、もっと、お仕事は楽しくなってくるはずです!
頑張ってくださいね!!


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