”不要なコミュニケーションコストを減らす方法"について考える

公開日: 2013/05/22 MSW コミュ論 チームアプローチ 思索



この仕事をしていると、とある2者間のコミュニケーションが、どこかで行き違い、修復困難になり、その結果、「とりあえず医療福祉相談室に!!!」と連絡が入ることの多いこと多いこと。

連絡を入れてくる相手は、地域の専門職や役所の担当者など。
他機関であることが多く、その場合の最初のコンタクトは、電話であることがほとんど。
そして、ご立腹していることが多い。


「○○部署から、こういうことを言われたのだが…」
「入院患者さんの○○さんの件で、こういった連絡があって…」


感情有意の相手に対して、感情ベースで対応しても、エネルギーの無駄にしかならない。正論をいくら口にしようとも、感情優位の相手にとっては、単に油を注ぐだけであり、こちらも疲弊するだけでよいことはない。


本エントリでは、「”不要なコミュニケーションコストを減らす方法"について考える」と称し、考えていることを記そうと思う。


1.まずは、感情という火を消し、論理ベースで話をするための土壌をつくる


感情優位な相手とのやり取りにおいて、まず必要なのは「火消し」作業に他ならない。
感情の火を消す、弱める。まずはここから手を付ける必要がある。


まずは、相手の感情の熱量を削ぎ落し、論理ベースで話ができる土壌に持っていく。
まずはそこからだと思う。(相手を上回る以上の熱量で相手を論破し、相手の感情の火を強制鎮火させるという猛者もいるが、少数派だと思われるため、ここではそれについては触れないでおく。笑)



A.まずは、自分が「敵」ではないことを態度で表明する。(つまりは、口を挟まず、聞く) 

B.そして、相手に理解を示し、受け止め、相手の立ち位置を理解しようとしているメッセージを送る。(相手が語る事実関係を、こちらも口にし、なぞる) 

C.相手の熱量が下がってきているか見極める(Dに移行できるか見極める) 

D.相手の今までの行動に一定の敬意を表明しながら、質問を挟み、情報収集を行なう。(相手の感情を損ねないように、現状を一緒に把握させてもらう)


ここまで来たら、"2.メッセージの宛先を探る"へ移行する。

2.メッセージの宛先を探る

相手がこちらに向けているメッセージの真なる宛先はどこか?
組織全体か?組織のとある部署か?それとも個人か?
それとも、メッセージの発信者自身の内的要因からくるものか?


強烈な感情的メッセージの出所は、どういった要素が絡まり合い生まれたものなのか?

どういったメッセージが発信者に何処から届き、それを発信者がどのように受け取った上での、反応なのか?

上記について、質問をしながら、推測していく。
メッセージの真なる宛先の推測がおおよそできたら、
"3.感情有意のメッセージを発している理由を探る"フェイズへ移行する。

3.感情優位のメッセージを発している理由を探る

なぜ、不満げにしているのか?
なぜ、感情的にまくしたたてくるのか?


発信者が感情優位のメッセージを送っている真なる受信者(組織全体か?部署か?個人か?それとも発信者の内的問題からくるものか?それらが複合的に絡み合ったものか?)がだいたいわかれば、発信者がメッセージを発している理由を想像することはそこまで難しくはない。


その上で、把握できた現状に対し、こちらからどのような提案ができるか?
もしくは、どのような役割分担ができるか?どのような協力体制ができるか?


上記を、メッセージの発信者に伝えることができれば、論理ベースで話をすすめる上での阻害要因(感情という火)は取り払われることがほとんどだ、というのが経験則である。


感情有意な発信者には、感情を前面に出し立ち向かわない。
感情優位な発信者には、正論で戦わない。
まずは、火消し作業をすることを優先する。


不要なコミュニケーションコストを減らすことで、無駄に疲弊することなく、援助者のエネルギーをクライエントへの援助に注力できる。


どこに、エネルギーを注力すべきか。(選択)
注力すべきところに、多くのエネルギーを注力する(集中)


選択と集中を為す上でも、援助者の疲弊を防ぐ上でも、”不要なコミュニケーションコストを減らす方法"を考えることは、大切なことだと思っている。




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