ソーシャルワーカー(社会福祉士等)の社会的認知度を向上させるために今何が必要か? 〜介護福祉士等現況把握調査の結果から〜

公開日: 2013/10/17 SCA 思索 社会問題




つまりは、”日本におけるソーシャルワーカーの社会的認知度が低い”という視座に立った上でのプロジェクトである。そして、”社会的認知度が低い”ということは、現任者の多くが有している感覚でもある。


そこでまず、本エントリでは、日本の3福祉士(社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士)の資格を取り巻く状況について、2008年に、社会福祉振興・試験センターが行なった調査等の結果をもとに、述べていきたい。









平成21年のデータだが、3福祉士会の組織率は、


社会福祉士会で4人に1人

精神保健福祉士会で7人に1人

介護福祉士会にいたっては、20人に1人という状況だ。


医師会、看護師協会が、約2人に1人に比べ、圧倒的に低い。

ちなみに、介護福祉士会は、民主党政権時代の事業仕分けの対象になっていた。参照:(社)日本介護福祉士会 ≪論点等説明資料≫ 省内事業仕分け室作成資料



以下、社会福祉振興・試験センターが行なった調査を一部抜粋する。
(介護福祉士等現況把握調査の結果について pdf)










資格を取得した理由については、

専門職としての知識・技術を得るため
他の専門職から専門職として認めてもらうため
職場から資格取得を求められたため。
就職・転職に有利なため、

という項目が高い。






福祉・介護分野で働こうと思った理由については、


働きがいのある仕事だと思ったから
自分の能力・個性・資格を活かせると思ったから
人や社会の役に立ちたいから
正社員として働けるから


という項目が高い。





資格取得によるメリットについては、


希望していた職種に就くことができた
自信を持って業務に取り組むことができるようになった
特に変化はない


という項目が高い。




仕事を行なう上での不満や悩みについては、 


給与・諸手当が低い
昇進等将来の見通しがない
社会的評価が低い
業務の負担や責任が重すぎる
自分の能力を伸ばすゆとりがない


という項目が高い。




現在の仕事を続ける上で改善してほしいことについては、


資格に見合った給与水準に引き上げる
経験に見合った給与体系の構築
有資格者のキャリアアップの仕組みを構築する
作成書類の軽減等事務作業の効率化省力化を図る。
社会的な評価を向上させる。


という項目が高い。




福祉・介護の仕事を辞めた理由については、


職員間の人間関係がよくないため
仕事の内容がきついため
給与等の労働条件が悪いため
昇進・正規職員への登用等、将来の見通しが見えないため
専門性が評価されていないため
体調を崩したため


という項目が高い。



福祉・介護分野に復帰する上で改善してほしいことについては、


資格に見合った給与水準に引き上げる
経験に見合った給与体系の構築
有資格者のキャリアアップの仕組みを構築する
有給休暇や育児休業等のしやすい環境整備を整える。
社会的評価を向上させる。


という項目が高い。



以上から読み取れるのは、

資格取得後、給与等の労働条件に満足しておらず、将来的な見通しも難しく、キャリアップのラダーも用意されておらず、社会的な評価が低いと感じている人が多い。

ということだ。


調査内で触れられている、


・資格に見合った給与水準に引き上げる
・経験に見合った給与体系の構築
・有資格者のキャリアアップの仕組みを構築する
・社会的評価を高める


上記への”ひとつの処方箋”として、認定社会福祉士制度が創設されたことは理解に容易い。(認定社会福祉士認定・認証機構HP)左記の設立の経過、詳細や賛否については、別エントリでまとめたい】


社会福祉士と、認定社会福祉士と、上級社会福祉士なんて、業界外の人間から見たら、みそ汁の具の違いくらいにしか見えないだろう。


そもそも、職能資格団体の組織率が4人に1人の資格の差別化を図ることの意味自体が私にはよく理解できない。


外から見れば、「内輪のパーティーゲーム」に過ぎない。


私は、上記については、”ソーシャルワーカーの母数を増やす”ことが、一番手っ取り早い方法だと考える。
母数を増やすには、社会的認知度を向上させることにあらゆる資源を投入すべきだ。


社会的認知度が向上すれば、従事者・志望者の母数も増え、質もあがる。需要と供給のバランスが変化すれば、福祉・介護職の人材市場に、市場原理が働き、淘汰され、労働環境も改善される(給与の差異も同時に生じるだろう)という”楽観的かつ単純なロジック”を根拠としてもいいと思う。


徹底的なる、
社会的認知度向上を成すための
広報戦略。


そのためには、社会に広く、ソーシャルワーカーを露出する(させる)必要がある。


”広告塔としてのソーシャルワーカー”が必要だ。


これは、実際の現任者でも、学者でも、社会活動家でもいい、もしくは、エンターテイメントやメディアの力を使い、アニメやドラマ、映画でもいいだろう。


「ソーシャルワーカー!?社会福祉士??
なにそれ、はじめて聞いた!!」


その存在を知らなかった人が体験する、「はじめて知った、聞いた!」に、インパクトを付加する。


そのためには、


意図的で、戦略性のある、
徹底的な、社会的認知度向上を成すための広報戦略。



が、必要だ。


Social Change Agency は、それを推し進めます。



おもしろいじゃないか!
一緒にやってやろう!
やりたい!と思った方は、

11/16(土)新宿「教える・伝える技術を磨きたい若手ソーシャルワーカーのための実践知プレゼンテーション大会」


に、ぜひ、お越し下さい。


お待ちしています。



………………………………………………………



  • ?±??G???g???[?d????u?b?N?}?[?N???A