考える力を身につけるために必要なことについて考える

公開日: 2013/07/21 MSW 思索 問いから言語化に至るプロセス


教育や、仕事の場で、「考える力が大切だ!」、「考える力を身につけなさい!」という言葉を耳にするとき、私は、それが正論だとは思いつつも、何がひっかかるような感じがします。
というのも、”考える力”という概念自体が、漠然とし過ぎているので、いくら「考える力を身につけなさい!」と言われたとしても、それが具体的な行動に結びつかないように思うのです。


ですから、誰かに、考える力をつけさせたいと思うのなら、「自分の身近な問題を発見し、その解決策を考えなさい」と言えばいいと、私は思うのです。



「なぜ自分のバイト代はこんなに安いのか」、

「なぜ教授の話を聞くと眠くなるのか」とか、
「なぜ、自分はモテないのか」とか。


些細なことでも、くだらなく思えることでも、

「なぜ」から思考はスタートするのだから。


「なぜ、いつも面接に余裕をもって臨めないのか」

「なぜ、面接前に確認事項を漏れなく確認できないのか」


私の現場1年目の頃の「なぜ」はこんな感じでした。





1.「問題発見能力と、問い設定能力」の方が、考える力よりも大切だ。

”考える力”という言葉自体が漠然とし過ぎていて、それを得ることを目標設定とするには抽象的過ぎます。そもそも、人は日々なにかしらを考えています。


日々の生活の中に、日々の仕事の中に、「問い」を立てることができるか。

立てた問いを材料にして、自分の行動を変えるためアプローチ方法まで落とし込むことの出来るフレームワークを得ることができるか。


このフレームワークを得ることができれば、「問い」を立て、行動レベルまで落とし込むことを、カラダが覚えてくれるようになります。これは、スポーツをするときに正しいフォームをカラダに覚え込ませることと似ています。事案に対して、漠然とアプローチをしても、正しいフォームは得られません。


「問題発見能力と、問い設定能力」を得ることで、「なぜ」に対して、自分の行動を変えていくためのアプローチ方法を得ることができるのです。



2.問題の核心部分に、アプローチするために、最初に行なうべきことは、小さな問いを立てること。

カラダが覚えてくれた「問題発見能力と、問い設定能力」は、特段立ち止まって考えなくとも遂行可能になるので、そこに投入する思考のエネルギー量が少なくて済みます。なので、その他のことに、思考のエネルギーを投入できるようになります。つまりは、余裕が生まれるのです。


ルーチンワーク的仕事の仕方では、対処が困難な事案に出会った時、取るべき行動は、「なぜ、対処が困難なのか」という「大きな問い」を立て、その問いを細分化することであると思います。



問題の核心部分に、アプローチするために、最初に行なうべきことは、
大きな岩(対処が困難な事案)の質量を(小さな問いを立てることで)、削ぎ落とすことなのです。


そうすることで、細分化された小さな問いひとつひとつに対して、どういったアプローチを取るべきか、という行動レベルまで落としこむことが可能になります。



問いを細分化することは=大きな岩(対処が困難な事案)の構成要素、その層を見極め、削っていくために、欠かせないプロセスとなるのです。




3.「なぜ」を書き出そう。可視化しよう。

「なぜ」を書き出す、言葉にする。そうすることによって、なぜ?という問いの見取り図を得ることができます。例えば、冒頭の「なぜ自分のバイト代はこんなに安いのか」というなぜ、について考えるための、小さな問いを書き出してみると…



大きな問い:「なぜ自分のバイト代はこんなに安いのか」


小さな問い(大きな問いについて考えるにあたり、確認すべき問い)
・自分のバイト代がなぜ、安いと感じるのか?
・他のバイトの時給はいくらなのか?
・同業他社のバイトの時給はいくらなのか?
・自分の仕事は、どんな種類の仕事で成り立っているのか?
・その仕事は、なにか特別な技術や知識を必要とするか?
・その仕事は、年齢性別関係なく、できる仕事か?
・仕事をするための知識がどれくらい必要か?
・仕事を始めるにあたり、研修期間はあるか?
・自分のバイト先の業界のマーケット規模はどのくらいか?


と、色々と出てくるかもしれません。(適当ですが)


業界の平均的な賃金

仕事に求められる専門的知識や技術
上記を最低限身につけるために必要な時間とコスト
業界全体の規模とシェア


こういった要素を調べることが、「なぜ自分のバイト代はこんなに安いのか」という問いについて考えるにあたり、必要になるやもしれません。




上記は、一例ですが、大きな問いを立て、それを小さな問いに細分化することで、どのような行動を起こすかということが明確になるのです(誰かに話を聞きにいく、本やインターネットで調べるなども、行動です)




どのような内容の問いであったとしても、問いを立て、問いを行動に繋げるために細分化し、実際に行動を起こす、アプローチをするところまでもっていくには、「問題発見能力と、問い設定能力」が必要です。



だからこそ、私は、『誰かに、考える力をつけさせたいと思うのなら、「自分の身近な問題を発見し、その解決策を考えなさい」と言えばいい』と思うわけです。




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